日本のお茶の物語を訪ねる

　いよいよ新茶の季節到来です。そのように申し上げ乍ら、只今、日本はコロナウィルス災禍の真只中。お客様にはご健勝でお暮しでしょうか。私共茶業も未曾有の危機の中にいます。どのように皆様に新茶の到来をお知らせすべきかと考えあぐねた末、足元から見つめ直す事にしました。

　発祥の地、原点でもある地を久方振りに訪ねました。深い山の難所を超えてゆきます。静岡市葵区栃沢の聖一国師（鎌倉時代、京都・東福寺創建の高僧で中国から茶の実を持ち帰り、この地に蒔いたと伝えられる静岡茶の始祖）の生家を訪ねました。疾病が流行していた博多で、聖一国師が清めの水を撒きながら疾病退散祈願をしたのが始まりとされる「博多祇園山笠」に因み、私もここで手を合わせ感染終息祈願をして参りました。

　ここには樹齢三百余年の枝垂れ桜があり、幾多の戦争、人身の混乱をも見つめ続けてきました。今、春を迎え、私達のコロナの困惑など何処吹く風、息をのむ程の美しい満開のしだれ桜の大木。空を茶畑を背景に凜と立ち、清浄な山の大気の中で悠然と風に揺れる桜花。此の地の茶樹はこの桜木に見守られて育つのですね。

　そんな樹木や歴史に思いを馳せ、今年の新茶を無事に迎え、おいしい新茶をお客様にお届けできることだけを考え、心掛けて参りたいとの所存です。新鮮な季節の香りをお届けしたい。

＊そんな時、脳裏には唐突にもチャップリンのモダンタイムスの物語が曲とともに私の中をかけ巡りました。そのラストシーン。チャップリン演じる主人公が何もかも失って失意どん底の少女にこう語りかけるのですね。「スマイル　スマイル　いつでもそれを見失ってはいけないよ。」そういいながら、どこまでも続く一本の道を手を携えてまっすぐ歩いてゆく二人。私など感動で身動きできないシーンです。この情景と今の私達の暮らしを重ねる事はできません。でもそんな時だからこそ、こういう映画から感動と勇気を貰いたいと思います。お茶のふるさとを訪ねていただいた夢ものがたりです。

　新茶は寒い冬を耐えた茶樹から芽生えます。ビタミン、ミネラル豊富な天然自然飲料であり、強い抗菌作用と免疫力を高めてくれます。私たちは自然の力を信じたいものです。今季も変わらないご愛顧のほど、重ねてよろしくお願い申し上げます、ありがとうございました。

清水園主　金子 高見　　

令和二年度 八十八夜新茶価格表

・今年の八十八夜は五月一日です。
・八十八夜新発売は五月二日からになります。

ご家庭用／新茶

◆発送料　本州・四国・九州・・・700円　北海道・沖縄・・・1,600円