申年になると決まって日光東照宮の三猿「見ざる 言わざる 聞かざる」 が話題になります。これには、時代的な背景や様々な解釈があるでしょう。しかし、今の私達に必要なのは、「よく見て、よく聞いて、よくもの言う事」ではないでしょうか。宮沢賢治の「アメニモマケズ」の中にも、ヨクミ キキシ ワカリ という所があります。私の敬愛する茶の研究者がかって、「僕は茶業者が嫌いだ、自分だけが最高だと思っている」と言われたことがあります。私が此の事に感服して茶業のリーダーのひとりに伝えると、彼は言下に答えられました。「自分が最高のものを作っていくんだと、そう思って向かはなければ、良いものは出来ないことも本当のことだよ」と。このお二人の言葉は二つとも、とても大切に思っています。お山の大將への戒めと、自信を持って立ち向かうこと。この両輪を持って大地をしっかりと歩く、今年こそこんな前向きな猿になりたいものです。賢治の詩は、ソシテワスレズと続いています。申年の今年、年頭の大切を忘れずに過ごしたいものです。もう二月です。 |