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桜前線が北上し美しい吹雪になって頭上を通過しました。杉花粉におののきつつも思い切って出かけた池面は桜の花びらでピンク色に染まっていました。その花びらを一枚一枚手にとってみると殆ど白に近いのに、幾重にも重なってこんなにも鮮やかな色彩になるものかと驚きました。そこのところが私の作品の限界(粘土は光を透さない、含まない)ではありますが、それでも製作を続けています。それはきっと小さいけれどなにかとっても大切なものを発見させてくれる喜びにあるのですね。私は小さな鳥獣虫魚や花達を作りながら、いつもその生き物達に、生きているって、命って凄いなって教えられています。だってどんなにそっくりに作っても決して飛んだり跳ねたりはしませんものね。この花びらも命の光を含んでいることを教えてくれました。そんな池面の重なった花びらの下から蛙がひょっこり顔を出しました。ぱっちり透んだ瞳にはなにが写っているのでしょうね。桜花の間に見える真っ青な空かしら。それとも私が見た光景が夢で、蛙が幻だったのかしら・・・。この頃の私にはいつも「螢の光」の歌声が甦って来ます。子供達の卒業式も過ぎ去って久しく、又時代とともに歌われなくなってしまいましたがこれもわが白髪とともに時の変遷と諦めています。桜の花が散り若葉が萌え始めるように若者達も巣立って往く時なのですね。見送るだけの私は、首まで浸かった湯舟のなかで「螢の光 =別れのワルツ」を口ずさむばかりです。
*150mm位の土手を表した流木に桜花が池を覗き込むように咲いています。
*蛙が泳いでいるのは、直径80mmの茶入れで、SPクレイでレリーフしてあります。
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