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暖かく迎えた冬も年越しの頃から厳しい寒さがやって来て 今は列島の高地を白い雪が覆っています。この季節に静かな林のなかを歩くと、木々の梢や土の下から小さな声が聞こえて来るような気がします。静けさの中に足音だけが遠くに響き、それが私自身にも生きていることの確かさを教えてくれているようです。私も作品作りの中で全く作れなくなってしまうことが良くあります。そんな時は手馴れたものだけを作るようにして(これが本当はとっても大切なことですが)、幾日もボーッとしていることがよくあります。無理に何かを作ろうとしても何も生れないからです。作品とは面白いものでアイディアが生まれ始めると、今日たった今、作っているものに集中しつつも頭の中は、もう明日の作品のことでそわそわしています。そして思いがけなくたくさんの作品が生まれることがあります。雪に閉ざされた大地も、じっと待っている時間の中にこそ大切なものが育っているのですね。蠢く春ももうすぐそこ。
表紙は175mmの流木に蕗のとうをあしらってあります。茶筒には雪を被った木の祠からモモンガが顔を覗かせて「は〜るよこい は〜やく来い」ってじっと待っているような様子。
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