明けましておめでとうございます。年頭の表紙は”闇の向こうに一条の光見え、 時を告ぐ”とさせて頂きました。雄鶏が早朝、時の声を上げる頃はまだ漆黒の闇に包まれています。幼い頃、田舎からチャボの番を貰ってきて我が家の小路のような庭で飼っていました。まだ真夜中の暗闇の中から、絞り出すような第一声が聞こえてくると 、いつも震えるような感動を覚えました。そして少しずつ空から光がこぼれ始め、やがて朝焼けの時を迎えます。こんな自然の命をしっかり受け継いでいる雄鶏にうっとりしながらも、いつのまにかその声もその姿も私の成長の時間とともに消えていきました。今では遙かななつかしい思い出になってしまいました。
このしっかり前を見据えて家族を抱えてゆく雄鶏の姿を思い描きながらの作品です。
本年が皆様にとりましても前向きな明るい一年でありますように祈りながら。
*雄鶏の尾羽までの高さ16cmです。材料はSPクレイで、これから一年この表紙を担当させていただく作品の素材です。
*干支縁起として始めた創作茶筒は20年目を迎えました。保存容器としての茶筒の装飾から、大切な一服を入れてお客様をお迎えする茶入れにのみ干支作品を限定しました。内部は木質樹脂漆塗り。直径高さ75o。 表紙の茶入れ表面は暁の空を写す紅溜漆塗り。 |