表紙の光景は、枯葉の降り積もった根株の上でうさぎが仲良くお眠りしています。いつの間にかお月様が顔を出しやさしい光で二人を包んで静かに夜は更けてゆきます…。私には今、仲良しな二羽の鳥がいます。仕事上、毎日通っている実家にはブラジル・サントス生まれの青ボウシインコのたろう、今年で33年が過ぎました。自宅には文鳥のピータで、こちらは9歳になります。毎日この鳥たちに見送られ、また迎えられています。ふたりと過ごすその間、私はいつも鳥語です。たろうには今でもお兄さん、少し前まで若かったピーちゃんにはお父さんです。そのピーちゃんが最近すっかり年老いてきて、手のひらに乗るとすぐ蹲って嘴を人差し指のうえに乗せます。私の親指で頭を撫ではじめると、気持ち良さそうに眼を閉じてうつらうつら。きっとこの温もりがこの子にとって帰ってゆくところなのでしょうね。寿命の差に感慨を憶えます。それに較べてたろうは33歳を迎えてまだ少しも変わっていません。実家では我が物顔で遊びまわっています。勝手に遊んでいながら、私が振り返らないで寂しくなると私のことをたーちゃんと呼びます(いつからかも、どうして覚えたのかも定かではありません)。私の肩の上をいつも安心の場所にしています。そうしているとき思います。たろうの眼の中には今、私がいます。そして私の眼の中にはいつもたろうが映っています。そうしてみんな誰かに寄り添って生きているのですね。
表紙の作品名「お月様 いつも見てる」。流木は高さ230o
茶入れ「秋・読書」
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